日本企業に足りない「リーダー育成」3つの視点

偶然リーダーが現れるような時代ではない
人は仕事の中で自然に育つという考え方があります。予定調和型のビジネスではそのようなことも可能であったかもしれません。しかし、「VUCA(Volatility=激動、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=不透明性)」といわれる今の時代、変化・変革をリードできる人材が偶然に生まれ出てくることはまれでしょう。

組織にとっては、リーダー人材が偶然生まれる事を待つのではなく、意図して計画的に人材を「作り込む」ことが重要になっています。

組織がリーダーや人材育成を図るうえで考慮すべき条件は3つあると考えています。それは「育てる意志」「育てる場」「育ちたいという思い」の3つで、これがそろってはじめて効果的な人材育成が可能になるのです。
経営陣が人材育成に関わっているか

まず会社として、人を育てるという強い意志があるのかが問われなければなりません。経営戦略と合致した人材戦略が策定されているか、人材戦略の中でリーダーの育成が最重要事項の1つとして位置付けられているか、ということです。絵に描いた餅ではなく、実際の行動にまで落とし込まれているかが重要です。つまり、現実に人に投資しているのか、ということです。

2014年1月のマッキンゼー・クオータリーに掲載された「なぜリーダーシップ育成プログラムは失敗するのか」という記事によると、アメリカでは年間140億ドル(1兆5千億円)をリーダー・経営者育成プログラムにかけているものの、企業の30%が「必要なリーダーが育っておらず、ビジネスの機会を喪失している」と答えています。

その理由として同記事では①ビジネス戦略とリーダーシップ開発方向の不一致、②学習成果の実践が困難、③行動変容のためのマインドセット変容の軽視、④人材投資の効果測定や人材パフォーマンス向上の変化測定の失敗――を挙げています。

これにもう1点付け加えるとすれば、経営陣の人材育成への関与度合いでしょう。リーダー育成にあたって経営陣は必要な投資をするだけでなく、育成への取り組みに関する情報をオープンにし、育成自体に積極的に関与することが望まれます。

もう1つは、「育成の場」です。日本企業ではしばしば、上位職への昇進に海外勤務やジョブ・ローテーションなどを要件化しているところが見受けられますが、それがはたして必要なことなのか考えなければなりません。

私がかつて日立のアメリカ法人で勤務していたときのことです。原子力営業部長に、アメリカ法人での営業経験をさせたいという話が日本の本社からありました。ところが、アメリカ法人が手がけるのは原子力とはまったく畑違いのハードディスク。しかも、原子力ビジネスのリーダー候補として将来を嘱望されていた彼は、アメリカでの2年間の勤務後、再び原子力事業部に戻るというのです。

何のためにハードディスクの営業経験を積ませたいのかが、不明瞭でした。結局、海外勤務ならばむしろ原子力の海外営業の経験が必要だということで、この話はお断りしました。リーダーシップを伸張させるためには何が必要か、という視点が抜け落ちた例です。

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